新潮文庫08年9月刊 日本テレビ「報道特捜プロジェクト」著 イマイと申します。詐欺を追いつめる報道記者

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どうもなんともいえぬこの読後感の悪さよ。ちっとも体当たり取材になっていないというのが頭にきた理由ではない。これって敵(詐欺師、犯罪者)に対しある種の逃げ場を与えているぞと読めるんだよ。なんというのかこんなに電話をかけ続けるってことが偉業とはちっとも思えない。
このダイアローグってTVニュースの方を見ていれば、緊張感やある種の笑いも感じられすこしはハラハラ面白いと思ったかもしれない。ま、それほど軽い時代なんだな、渾身のルポなどはどこにも需要がないのでしょう。「現代」廃刊という意味の重さを悲しく咀嚼しなくちゃね。
低能な小悪党にむけてリダイアルを繰り返し、そういうリアクションに慣れてなく驚き呆れる相手の間抜けさをさらけだした事実はみとめるけれど、いっそ敵を撃沈さす最終兵器もきちんと準備すべきだった…というより商工ローン事件では電話での脅しで脅迫罪が成立したんじゃなかったのか。告発まで持ってゆけずとも、敵の姿をとらえ突撃インタビューまで持ち込むほどの剛気があればよかった。ワルのほうにも「ゆとり」が読み取れ、時代の弛緩が如実で感じ取れるそのあたりも情けなくいらだたしいね。