幻冬舎文庫08年6月刊

すてきなひさうちみちおのイラストカバーのせいでアウトロー文庫かと間違えかけた。内容はまあ、まっとうな娯楽小説。帯に推薦文を書いている太田光氏に同意と敬意を表すなら、「お笑い北朝鮮」「…共産党」並みにクダラネー!作品でした。
精進の末みたいに冒頭で記してるけれど、二階堂が動物語を理解できる・話せるという設定は、荒っぽすぎて作品を堕している気もするが、でもまあロドリゲスやアシカのアックンの弟の独白はやっぱり必要か。そのくせ猫の亀之助は額の骨が折れたそうで、無実なのにかわいそうだ…ってそんな場所で感情移入なんかして読んでどうする。
前世紀(1999年)に刊行されたと巻末に記してあって、商売上手の幻冬舎としては無駄に寝かせていたのか売れないと踏んで放置されていたのか。小説として訴求力はほとんどないけれど構成や押さえどころなどきっちりしていて、それでもさすがのテリー伊藤の名を冠してもテレビ化とかせめてVシネマ化もできなかったのかな。