購入したのは古森義久「中国『反日』の虚妄」

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楽しい読み物だった古森義久のレポート(か新聞記事)だけれど、巻末の対談2編は不用でしょう。反中的な言説で徹底すれば(いじめでもいいから)いいのに、狭義の愛国者みたいな対談者を呼んだことで著書全体のメッセージのトーンを弱めている。「文庫版あとがき」で著者は「『反日騒動』は現在の指導者は無意味」と見ていると記していて、つまりはそういう駆け引きなのに「みんなで靖国参拝すれば言い」みたいな処方箋こそ、中国の手の内で踊ることになりそうだよな。
「中国がいかん」と攻めなくてはいけないのに「あの戦争は自存自衛の…」みたいないいかたは、わたしが見るかぎり説得力的には逆効果にしか思えない。
とはいえ、中国ってスローガンが露骨で(「米帝国主義は張り子の虎だ」や「造反有利」とか)かつまた、スローガンを実践する実力(本書で書かれている反日デモね)の薄気味悪さを感じるよね。
「批孔批林」って、もう誰も知らないスローガンかもしれないが、死者林彪を貶めるために孔子の事跡の全てを批判する政治指導者だものね。
そういう指導者が「反日」で国をまとめているわけで、だからそれを呆れて見ていても何も変わらない。何か梃子になるものを見つけ出すのが現在、ジャーナリストの仕事でしょ。