文藝春秋の新刊 2005・7 「水彩画の筆」©大高郁子

ソースがこういう縦長(縦165横95)なので、必然的に背の高いのっぽな画題が登場する。翌年のアスパラガスや04年5月に描かれる鉛筆とか。
いや、とはいえ横長であるべき水平線・喫水線・地平線もコレクション中から紹介できるでしょうから、縦長のイラスト美だけをぶつぶつ唱えているわけにもいかない。
絵筆に関しての知識その他はまったく欠けています。天然獣の絵筆はものすごく高いというくらいの知識しかない。

http://www.rakuten.co.jp/ferveur/434669/434698/


と思っていたのだが、それほどバカ高級というわけでもないのね。1本3千円はもちろん高いけどさ。
イラストの絵筆はつぶれているね、こういうの義務教育で使ったおぼえがあるけどもちろんセットで購入の廉価版。消耗品でしかありませんでした。シルバーの背景色にシルバーの金具と穂芯。シンプルな色使いなのにこんなに奥行きが感じられる、ちょっと不安と恍惚にはっとしちゃう(穂先の黄金色なども)おどろきの作品です。

この月「モーダルな現象」発売

奥泉光、地底探検もあまり評判にならなかったようで残念です。大好きな作家だけれど、作者の資質の何かが微妙に変異しているような「モーダル…」だった。フォギーも実は「モーダル…」に1行くらい顔を出すのだが、あまりにそっけないじゃないか。
「鳥類学者…」は戦中のドイツへ、こちらは戦中の瀬戸内海へ。「グランド・ミステリー」は戦中の太平洋にと、時間的には収束するのだからここはなんとか収斂さすためのきめが必要かとは思うが、かといってわたしに何かアイディアがあるわけじゃない。
削除以前に書かれたダイアリーで、誘拐された少年たちを殺さなかったせいで「蹴りたい田中」以下だと記したけれど、でもこのままだと本当に田中啓文に並ばれちゃうぜ、芥川賞と茶川賞作家の戦いみたいですねえ。