文藝春秋の新刊 2005・11 「猫の置き物」©大高郁子

ネイビーブルーというのか、上品で澄んだ濃い青がすこしせつなくそしてでもすこぶる魅力的。子猫たちの紋様も青、じゃれているボールも青。青が切り取った息詰まる小世界だ。
07年お正月の縁起物、招き猫よりずっとずっと小さな高さ2センチもない小指の先くらいな白い陶器に絵付けされた物件じゃないかなと、これは勝手な独断ですが。
ネイビーにこだわるわけじゃないけど、猫たちの顔の表情がきりりと精悍で、少年水兵(横須賀行の電車に乗るような)のよそ見をしない生真面目さみたいにみえた。
村上春樹意味がなければスイングはない」刊行の月。けっこう楽しい読書体験でしたが、わたしの家の村上春樹は、あまり長居をしない性質でして(すぐに知人におすそ分けする。「はじめての文学」も「ひとつ村上さんで…」ももうない)、すこし寂しい。