ポプラ文庫4月刊 田口久美子 書店繁盛記

([た]2-1)書店繁盛記 (ポプラ文庫)

([た]2-1)書店繁盛記 (ポプラ文庫)

カバーはよいです、短冊というのか補充カードにポプラ社の住所まで記してあってこういう装いはうれしい。巨大書店ジュンク堂の開店準備のさまなどとても面白く読んだし客注の面倒くささ、Amazonなどネット書店に関する諸々など知って嬉しくなる情報は多かった。書店員採用の面接状況とかイベント関係とかどうでもいい情報もあったりするけど。
著者のスタンスはでも、ちょっと何だな。「新しい歴史教科書」や「嫌韓流」への露骨な嫌悪の視線とか、グローバルスタンダード(再販制改革)への抵抗とか。韓国関連は彼の国のTV局取材への軋轢の形をとりつつ、自分たちはリベラルだが本が売れるのは自分たちのせいでない、みたいなエクスキューズだし再販制に関しては「じゃあ書店自体のサービスって何だよ」(もちろんジュンク堂の品揃えは大いなるサービスだが)と、だったらもっとコンシューマーのぶつくさも聞いてほしい。
大規模書店副店長へのお客としての要望、大規模書店は変なお客に関してはもっと毅然とした態度を示してほしい。結局それって幹部の決心一つなのですよね。書店員の給料が安いという現実は本当なのだろうが、でもそうだとしても(そうだったらなおさら)再販制にすがるのではない利益の追求をはかってほしい。電子書籍にはないサービスをこれからも追求してください。ジュンク堂新潟店、素敵な店だが慇懃無礼だ。先日見てたら地下の喫茶部で注文の仕方が分からない若い女性に対し、完全に見て見ぬふりしていた。