ハヤカワ文庫09年3月刊 清水邦夫? 雨の夏、三十人のジュリエットが還ってきた/エレジー

渡辺えりの「光る時間」でも感じたのだが「戦後は遠くなりにけり」という結論か。渡辺の場合は知識不足を如実に感じてしらけるしかなかった。清水邦夫はぎりぎり昭和二桁、記憶はもちろん正しくドラマとしての出来もすばらしいのだが、いかんせんヒロインが60年以上昔とつながっていないと成り立たないのでは少し苦しい。
「テロリストのパラソル」その他全共闘エイジでは残念ながら国民共通の歴史ではないので、だれもに届くドラマは描きにくい。
なんだろう、欲しいな戦争。村上春樹だって戦争小説を書きたくてしょうがないんだし。