梶尾真治「ムーンライト・ラブコール」

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「ハートウォーミングな永遠の名作8編」と帯にかかれてました。なんだかわたし、そういうほのぼの系とは縁遠い人なのだ。
購入した短編集の最初2編、表題作とサンタの話読んだかぎりですが、今後の展開に(長編じゃないんだが)ほとんど期待できそうもないので読書することは打ち切りになるだろうな。
どんな意味ででも、読者より作者が皮一枚先に行っていてほしいものだ。読者のほうで先を予想し、苦虫かみつつ予定調和のオチを知らされるのは辛いぞ,悲しいぞ。

フレドリック・ブラウンを思い出した

タイトル不明。創元文庫のどれに入っていた短編だったかも忘れた。
ある日突然、夜空の星たちが不自然に動き出すってやつで、「狂った星座」だったかな。梶尾真治の「ムーンライト…」とは違って文学の毒とペシミズムとを沈殿さす苦い笑いを読者にサービスさす、とてもすてきな小説だった。べつに「ムーンライト…」がパクリだなんていう気もない。発酵し芳醇となる場所が違うということ。
スポンサーが付いていて、でもスペリングを間違え(「牛乳石鹸」が「牛尿石鹸」になってしまうみたいな)たマッドサイエンティストは心臓麻痺で死んじゃうし、第一発見者の青年はどうなったんだか忘れたが、サイエンティストの企みを暴いた学者はワシントンDC(連邦政府)に行こうとしてワシントン州シアトルにいっちゃったりと、情けないため息と人生にはたいそう必要なペシミズムを読者は受け取った。
まあ、そういう読書体験を中学生時代に身につけちゃったわたくしですので、ただのハートウォーミングではわが鉛の心臓にまでは届かんぞ。

http://kdai-toshokan.web.infoseek.co.jp/brown.html

タイトルは「狂った星座」でよかったみたいだ。ブラウンというわけじゃない、創元の文庫でブラウンの諸作が常時供給されていたという事態をわたしは高く評価します。早川の商法を中学生時代の私は嫌悪してました。