文芸春秋の新刊 2021 5 「窓辺」 大高郁子

すてきな色彩とトーンで(どう違うか説明できぬが)ホッとする今月のリーフレット。カーテンの柄の細部にあたる光がグラデーションを作り、風の色を感じてしまう。手前の猫の後姿も耳の角度で「風を見てる、感じてるな」と分かり、ちょっと涼しい季節だけど窓を開けたくなる。

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イラストレーター大高郁子の魅力は、もちろんズバリな色づかいで背景単色とかが基本なんだが、円熟してきた最近の筆はグラデーションとか移ろいとかを意識した作品も、ときどきみられ、TPOで書き換えておられるのでしょう。

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2019年7月「夕刻のローザンヌ」は暗い森からメリーゴーラウンドの侘しい点灯斗その向こうの夕空がわたしにたおやかな悲しみをもたらしてくれる。2020年9月「千駄木の家」は呻吟の部屋の熱さと開け放った窓の向こうの涼やかとのすてきな対比が美しい。

今月購入したのは紀 蔚然(Chi,Wei-Jan き・うつぜん)という台湾人作家の2011年に台湾で刊行された「台北プライベートアイ(原題は私家探偵-PRIVATE EYES)」という作品。最初の1-2ページ読んだだけだがなんだか主人公が喋りまくっていて、ウーム困ってしまう。