創元推理文庫7月刊 ヘニング・マンケル柳沢由美子訳 背後の足音

背後の足音 上 (創元推理文庫)

背後の足音 上 (創元推理文庫)

ダルジール警視ものだったか、けっこう昔のポケミスで“ゲイの警官の恋人が街にやってきてのてんやわんや(殺人付き)”があったぞ読んだぞ。読んだ限りでは特に自分の性癖をひた隠すとかではなかったようだが…って、タイトルも覚えていないので何ともいえないが。
こちら「背後の足音」は本国では1997年に上梓されたそうだが、そうかスウェーデンではオフィシャルではその頃でもタブーだったんだろうか。でも、中年独身のマッチョな刑事がゲイかどうかを同僚が考えもしないってのは何なんだろう。もちろんわたしは初老独身でゲイではないけど不審死したなら周囲はそれなりに勘ぐるでしょ。
「目くらましの道」以降のヴァランダー読者ですが、「目くらまし…」は直接個人的な復讐、「五番目の…」は間接的な復讐、それでもってこのたびはサイコパスということで、どんどんスウェーデンでの大量殺人は混沌ですね、ニッポン国秋葉原の加藤も一発勝負の通り魔ではない道を選ぶこともできただろうし、まだ衝動で殺人とはパワー不足か。
ちょっといただけないのはイーサという最初に殺された3人の友人が、ヴァランダーと一緒にいて殺されてしまうところ、いくらなんでも謹慎・捜査から外されるだろ。毎度のことですが、ヴァランダーの捜査方式のはた迷惑さや他人を苛立たせる能力─そのくせ傲慢な警官じゃないあたりの魅力は、もうちょっと日本の警察小説作家も見習ってほしい。